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■■2004年12月のミニレクチャー■■

脳室に見られる髄液の奇異性増強効果
(TOSHIBA 0.5)

T1W Axial FLAIR Axial T2W Axial
第W脳室
側脳室

●MRIは動きの影響を非常に受ける。流体も動く物質であるから画像上種々の影響を与える。動脈や静脈はすべての撮影においてアーチファクトを生ずるので誰でも理解できる。しかし髄液の場合は部位と症例によって千差万別で、アーチファクトはまちまちである。
●髄液のアーチファクトでも流れ去ることによる無信号=flow voidは中脳水道とモンロー孔でよく観察される。一方で奇異性増強があることはあまり知られていない。教科書にもほとんど扱われていない。髄液の速度はせいぜい数cm/秒であり、T1/T2/FLAIRの条件では唯一FLAIRでのみ奇異性増強が観察される。
●症例は36才男性(KCM11406)、第4脳室の中央と左側脳室にFLAIRで高信号が観察される。これは上下のスライスから流れ込んだ髄液の信号である。画像は提示しないが、第V脳室中央にも高信号が見られた。T1強調やT2強調画像では、これらに相当する器質病変はない。CTでも脳室には病巣は認めなかった。
●実際FLAIRは遅い流れを高信号に表示する性質があり、下肢静脈のMRアンギオに応用されたこともある(東芝)。最近のMRではこの脳室のアーチファクトはあまり見なくなった。なぜかというと、これらのアーチファクトを嫌って、TACTFLAIRと言われる手法を用いて、スライスを交互に撮影し、奇異性増強をなくする手法が一般化しているからである。それでも年数例は、クリクリとした目玉のようなアーチファクトに出会うことがある。出血や腫瘍性病変との鑑別が重要である。

MRI診断ネット 関 耕治