
監修 古田陽久 企画・制作
21世紀総合研究所
編集
世界遺産総合研究所 発行 シンクタンクせとうち総合研究機構 定価
2,100円(本体2,000円)
ISBN
4-916208-72-2
発行日
2003年6月25日
判型
A5
頁数
128ページ
注文
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| 世界の宗教と宗教建築物 |
| 世界には,195の国と地域があり,人種,民族,言語,宗教,思想,慣習も多様です。 本書「世界遺産ガイド−宗教建築物編−」では,ユネスコの世界遺産リストに登録されている多様な物件のなかで,キリスト教,イスラム教,ヒンドゥー教,仏教,儒教,道教,ユダヤ教,神道など宗教に関わる建築物のうち代表的な物件を取り上げます。 世界の歴史と文化をひもとくなかで,宗教の果たしてきた役割,また,宗教も多様であることを認識し,その違いや異なる文化の理解にも役立つものでありたいと思います。 宗教が,それぞれの国の歴史や文化の成り立ちを考察するなかで,きわめて重大な影響力をもってきたことは否定できません。 世界遺産に登録された宗教建築物を訪ねたり調べたりすると,過去から現在へ脈々と引き継がれてきた歴史と伝統,宗教に対する人々の熱意が伝わってきます。 世界遺産に登録されている文化遺産のうち宗教建築物そのもの,或は,旧市街や歴史地区などで宗教建築物が含まれるものが数多くあります。それは,遺跡であったり,建造物群であったり,モニュメントであったり,その形は様々です。 また,周辺のかけがえのない自然環境と共に複合遺産になっているもの,或は,人間と自然との共同作品ともいえる文化的景観の中に教会などの宗教建築物が含まれているものも数多くあります。 一方,非常に残念なことですが,宗教間,或は,宗派間のトラブルから戦争や紛争になっている事例も多々あり,貴重な文化財が数多く失われたり,危機にさらされています。 また,これまでに世界遺産に登録されている物件のうち,約200の神聖な場所で,本来守っていかなければならない世界遺産が観光遺産に変貌し,旅行者が世界遺産を破壊するなどのトラブルが数多く起こっているともいわれています。 世界遺産の登録要件の一つとして,恒久的な保護管理措置がなされているかどうかが問われます。宗教建築物の場合,それが他の物と異なる点は,それが信仰の対象である限り,一般人とは異なる信者がそこにはおり,単に観光や鑑賞の対象物ではないことを認識しなければなりません。 聖都3000年の歴史を誇るエルサレム,ユダヤ教徒が祈りを捧げる嘆きの壁,嘆きの壁の内側の丘陵地に燦然と輝くイスラム教徒の聖地岩のドーム,キリストが十字架にかけられたゴルゴダの丘に建つ聖墳墓教会,世界最大規模を誇るカトリックの総本山,ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂,ブッダ(釈尊)の成道の地で,仏教の四大聖地の一つでもあるインドのブッダ・ガヤのマハボディ寺院の建造物群,中国仏教四大名山の一つで普賢菩薩を祀る霊場である峨眉山,チベット仏教を1300年間守り続けた聖地ラサにそびえるポタラ宮,ヒンドゥー教寺院の遺跡があるインドのコナーラクの太陽神寺院,儒家孔子ゆかりの孔廟・孔林・孔府,アジアで最も信仰されている宗教の一つである道教の発祥地である青城山など,多様な宗教建築物が世界遺産に登録されており,宗教がわれわれ人類に果たした役割や影響がいかに大きかったかを物語っています。 また,スペインのガリシア地方にあるカテドラルが象徴的なサンティアゴ・デ・コンポステーラは,エルサレムやヴァチカンと同様にキリスト教の代表的な聖地です。 このサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂(カテドラル)は,1985年にユネスコ世界遺産に登録されています。このサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道は,スペイン側に2ルート,フランス側に4ルートありますが,前者のスペイン側の巡礼道は,1993年に後者のフランス側の巡礼道も,1998年に,それぞれの物件としてユネスコ世界遺産に登録されました。 サンティアゴ・デ・コンポステーラは,イエス・キリストの十二使徒の一人,聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺体が眠るとされる聖地です。この地は,中世には,スペイン,フランス,ドイツなどヨーロッパ各地のキリスト教徒の精神的な支えとなり,また,憧れの巡礼地になりました。この地に行くには,険しいピレネー山脈を越えなければならない難行の道でしたが,巡礼者にとっては,こころの道でもあり,やすらぎの道でもありました。 この巡礼の道を通じて,異文化や技術も交流し,巡礼者が国と国,町と町とをつなぐ役割を果たしました。これらの巡礼者には,職業も身分もありません。聖人と罪人,王と平民,あらゆる階層の男と女,老いも若きも,この巡礼道に多くの足跡を残してきました。 これらの巡礼道は,遂には,街道となり,聖堂や礼拝堂などの宗教建築物,それに,宿泊施設も数多く建てられ,宗教や文化の発展に重要な役割を果たしました。過去から現在,そして,未来へとサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅は続いています。 一方,わが国のユネスコ世界遺産についても,日光の社寺,古都京都の文化財,法隆寺地域の仏教建造物,古都奈良の文化財,厳島神社の様に,宗教との関わりが深いものが多く,神道系の神社,仏教系の寺院などの宗教建築物が世界遺産に登録されています。また,現在,暫定リストに登録されている紀伊山地の霊場と参詣道,平泉の文化財,古都鎌倉の寺院・神社ほかも宗教建築物に関わるものです。 先行き不透明で,何を信じて良いのか不安な時代,現代人の多くが精神的な拠り所を模索し,信仰,祈りの対象も多様化すると共に宗教の果たす役割は,今後,ますます重要になるでしょう。 |

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